今度はケース付き! HI-TEC C コレト レフィル スターコレクション

11月発売が予告されていたHI-TEC C コレト レフィル スターコレクションが、ようやく先週末頃から店頭に入荷し始めました。

コレトの限定版としては、以前「ハートコレクション」が発売されていました。
ハートコレクションは、レフィルだけではなくハート柄の軸も出ていましたが、今回はレフィルのみです。
その代わり、今回はレフィルケース付きの10本セットが加わりました。
リフィル10本入りで価格は1,260円、リフィル単品が1本105円ですので、ケースは210円相当になります。


ケースはブルー、ホワイト、ピンクの3色ですが、中身のリフィルはどれも同じものがセットされています。
たこぶろぐさんではホワイトとピンクが紹介されていましたが、私が購入した東急ハンズでは白は売り切れていました。


ケースの蓋を開けるとスタンドとしても使用可能です。
ボール径は0.4mm、色はブラック、ブルー、クリアブルー、グリーン、アップルグリーン、アプリコットオレンジ、オレンジ、ベビーピンク、ピンク、レッド。
個人的によく使うブルーブラックやブラウン、バイオレットが無いのがちょっと残念です。


「スターコレクション」たる所以の、星形のノックレバーです。
通常品は不透明のプラスティック製ですが、これはクリアパーツが使用されています。
通常品より出っ張りが大きいのでノックしやすい反面、ペンケースの中で引っかかりやすいという欠点もあります。
しかし、実用性を損ねる程ではなく、デザインと実用性のバランスが上手く取られています。


ハートコレクションと違って星柄の軸はありませんが、色合い的にはスイートモードのアクアブルーと良くマッチしています。
流石に、この色では40過ぎの親父が使うのには抵抗がありますので、中学生の娘が使うことになりました。
文具好きの娘は私がキャンペーンの景品で手に入れたレフィルケースを狙っていた様子でしたので、丁度良いプレゼントになったようです。


ケースの仕様は、キャンペーン用のものと同じもののようです。
左側の2列はシャープユニットや消しゴムユニットも収納できます。
レフィルケースの正式商品化に期待していましたが、レフィルとセットという形であれ、商品として販売されたのは歓迎です。
今後は、もう少し大人しいデザインで、男性が使っても違和感の無い物に期待したいところです。

文具の流儀:ロングセラーとなりえた哲学

文具の流儀: ロングセラーとなりえた哲学

文具の流儀: ロングセラーとなりえた哲学

文具評論家の土橋氏が、内外の文房具メーカーを取材した一冊です。
特徴的なのは、各メーカーのロングセラーを1つずつ取り上げ、その製品に絞って紹介している点です。
取り上げられている文具はどれも定番のロングセラーですので、文房具好きならずとも一度は目にしたものが多いのではないでしょうか。

  • はじめに
  • トンボ鉛筆 | 8900
  • ライフ | チケットブック
  • シード | レーダー
  • カール事務器 | 鉛筆削りAngel-5
  • ステッドラーマルスモグラ
  • ぺんてる | シャープペンの芯
  • オート | オートペンシル
  • シャチハタ | Xスタンパーネーム
  • ビック | オレンジビック
  • 寺西化学工業 | マジックインキ大型
  • 住友スリーエムポスト・イット
  • デザインフィル | ダイヤメモ
  • ラミー | ラミー2000万年筆
  • オルファ | ブラックS型
  • ゼブラ | マッキー
  • ポスタルコ | リーガルエンベロープ
  • ロディア | ブロックロディア
  • ヤマト | ヤマト糊
  • マルマン | 図案スケッチブック
  • ツバメノート | ツバメノート
  • KUM | シャープナー/300-1
  • 三菱鉛筆 | ユニ
  • セーラー万年筆 | プロフィット21
  • 満寿屋 | 原稿用紙
  • クロス | センチュリー
  • コクヨS&T | キャンパスノート
  • ライツ | レバーアーチファイル
  • スマイソン | パナマノート
  • パイロット | キャップレス
  • 美篶堂 | みすずノートマーブル染め
  • カランダッシュ | フィックスペンシル
  • 月光荘 | スケッチブック
  • ファーバーカステル | カステル9000
  • ダイゴー | アポイント
  • プラチナ万年筆 | #3776ギャザード
  • ハイタイド | ミニットマネージャー
  • チャールズレッツ | クラシックシリーズ
  • ロットリング | ラピッドグラフ
  • あとがき
  • 問い合わせ先リスト

目次を眺めるとなかなか壮観です。
流石に、ロングセラーだけあって馴染み深い製品が並んでいます。
パーカーのジョッターが無いとか、ポスタルコのリーガルエンベロープってそんなに古いものじゃ無いだろうとか、カランダッシュはボールペンを取り上げて欲しかったとか、突っ込みどころは有りますが…
各製品の紹介は10ページ前後が割り当てられていますが、写真ページが数ページ入りますので、正味は8ページ程度になります。
詳しく取材した様子が伺えるものの、ページ数が足りずに少し物足りなく感じる記事も有りました。
とは言え、ロディアだけで1冊に仕立て上げて失敗した例もありますので、少々物足りない位が丁度良いのかもしれません。

土橋氏と言えば、文具のレビューサイト文具ウェブマガジン pen-info(以下、pen-info)を主催されています。
pen-infoでも本書と同様に、1つの記事で1つの製品を取り上げられていますが、そのスタイルはかなり違っています。
pen-infoでは主観を交えてユーザー目線からのレビューがなされていますが、本書では取材に基づいた情報が主で、主観は(完全ではありませんが)かなり排されています。
結果的に単なる蘊蓄に終わっているとも言えますが、私は却って、主観が入っていないことに好感を覚えました。
本書で扱われているものはどれも定番中の定番で、既に評価が固まっているものばかりです。
そのような製品に対しては、今更ユーザーの主観による評価を聞かされてもあまり有難味は有りません。
これが仮に新製品の紹介であれば、メーカーの発表だけでは分からない、実際の使い勝手の感想にこそ意義がありますが、本書に関しては主観を排したスタイルで正解でしょう。

個人では難しい広範囲のメーカーに取材した成果は評価に値し、文具好きなら一読の価値はあると思います。
(個人的に思い入れのある製品が入っていなくて残念な点はありましたが…)
但し、価格はそれなりにしますので、購入に値するかどうかは微妙です。
私は図書館で借りて済ませてしまいました。
手元にずっと置いておきたい程の魅力は感じなかったので、購入は見送りです。悪しからず。

手帳本の真打がようやく登場 NOTE & DIARY Style Book vol.6

ノート&ダイアリースタイルブック Vol.6 (エイムック 2282)

ノート&ダイアリースタイルブック Vol.6 (エイムック 2282)

年に1度発行の、手帳本の真打がようやく登場です。
毎年買っていますが、一般誌の手帳特集記事とは一味違うコアなネタが今年も満載でした。

  • グリーンウィッチ シー・オーバー ノミネーション
  • いま注目の新製品
  • ダイアリー
    • 自由な発想でマルチに使える1日1ページダイアリー
    • 毎日持ち歩くものだから手帳はポケットサイズがいい!
    • 仕事が気持ちよく進む効率重視のビジネスダイアリー
    • 手帳+ノートをすっきり持つ2WAYスタイル派
    • 2012年版のトレンドはこれ! 売れ筋カジュアルダイアリー
    • 愛着深まる手触りの良いダイアリー
    • 収納上手なポケット付きダイアリー
    • ダイアリーフォーマット一覧
      マンスリー/デイリー/ウィークリー(バーチカル、ホリゾンタル、レフト式、ブロック)/ユニーク
    • Topics1 2012手帳はこれでいいのだ!!
  • ノート
    • 機能的フォーマットでアイデアを受け止めるノート
    • 手に取り眺めれば心がなごむ和ノートの佇まい
    • どこか懐かしくも新しい いまどきの大学ノート
    • ペンとの相性で選ぶ書き味の良い上質紙ノート
    • 表紙に興奮&胸キュン! のひとめぼれノート
    • 紙に書いて備える
    • Topics2 アプリでデータ化する次世代ノート
  • もっと快適になるアクセサリー
    • ダイアリーシール
    • 遊び付箋/目立たせるクリップ
    • ブックマーク
    • 自己管理付箋/万能付箋
    • まとめるクリップ/ペンホルダー
    • ケース/革カバー
    • 和素材カバー/はさめるツール
  • My Favorite Note & Diary
    • ノートは私にとって、拾い集めた「旅のかけら」を登場させる場
      堤 信子さん
    • 日々のワクワクを積み重ねていく私だけの好きなものノート
      石山まりこさん
    • それぞれのノート&ダイアリー愛用スタイル
      佐原 実さん/佐藤美季さん/藤田ひとみさん/木村 希さん
      北川尚宏さん/堀江大祐さん/楠瀬薫子さん/竹内由紀さん
    • Topics3 素材感を味わい、育むディスクカレンダー
  • システム手帳
    • アシュフォードで再発見するシステム手帳の魅力
    • 編集部おすすめ! ブランド別新製品・定番品
      ASHFORD/FILOFAX/knoxbrain/PTM/Brelio/Pineider
      土屋鞄製造所/KAKURA/OFFICINA LIBRIS
    • ぐるっと閉めてしっかり守るジップタイプ
    • 名刺入れ感覚で携帯したいキュートなミニ5穴
    • 人気フォーマットで各社のリフィルを比較する
    • さらっと気負いなく好きな形を続けるという粋  杉山三太呂さん
    • Topics4 紙製クロコの“攻め”ノート
  • メモ&カード
    • 手のひらサイズの小さなメモを携帯する妙
    • 使いたい分だけ自由に使うロール式メモ
    • 書くと同時にコピーがとれる安心便利な複写メモ
    • ユーザー直伝! 本当に使える情報カード活用法
    • 美しい佇まいと実用性を兼ね備えるブロックメモ
  • Ei Stationery
    ESダイアリー 1日1ページ/ESダイアリー プレミアム
  • 方眼罫が好き
  • サイドリバーショッピング
  • 読者プレゼント
  • 特別付録
    蛇腹式イヤープランナー
  • ノート&ダイアリー原寸大判型表
  • 読者の皆さんからのお便り
  • 編集部が愛用&今気になるノート・手帳
  • ブランド&ショップお問い合わせ先リスト

このムックは、毎回のことながら物欲を激しく刺激されて困ります。2012年は、そろそろスケジュール帳は完全にデジタル化しようと思っていたので、新しいスケジュール帳は買わない予定でしたが、システム手帳やスマイソンの美しい写真を見せられると心が揺らぎます。
ノートやアクセサリーも色々と気になる商品が紹介されていました。変わったところでは、9月に横浜にオープンした「カップヌードルミュージアム」で販売されている、オリジナルノートとロイヒトトゥルム手帳が目を引きました。なかなかインパクトのあるデザインです。

いわゆる「手帳術」の記事は殆ど無く、手帳やノートそのものにフォーカスした編集姿勢が貫かれています。
若干読者を選びますが、文具好きならきっと楽しめるでしょう。
税込1,575円と、少々値は張りますが、価格相応の価値はあると思います。

エネループに限定カラー登場! 一足先にチェック!!

ガジェット好きにはお馴染みの充電池、エネループの世界累計出荷本数が2億個を達成したそうです。
それを記念して、20万パック(単三形15万パック、単四形5万パック)限定の、eneloop tones chocolat(ショコラ)が発売されます。
発売日は11月14日ですが、先日まで東京ミッドタウン開催されていたイベントで一足先に展示されていましたので、見に行って来ました。

こちらがその商品。チョコレートをイメージした、シックなカラーリングです。


いかにもチョコレートっぽい色や抹茶のような色、渋めのシャンパンゴールドなど、それぞれに特徴的な色です。


充電器とのセット商品も用意されるようです。
こちらのセットは充電池は2色×2本ずつになります。

イベントでは、過去に発売された限定商品も展示されていました。

こちらは初代eneloop tones、クレヨンをイメージしたカラーリングです。
2009年発売ですが、私のところではまだまだ現役で活躍中です。


これは2代目、派手なラメ入りのeneloop tones glitterです。
初代tonesでは単三形しかありませんでしたが、glitterには単四形も用意されていました。
私も単四形を購入して、LEDライトやデジカメ用の予備バッテリーとして活用しています。


懐かしのクリスマス限定パッケージも。
こちらは中身は通常品でしたね。


mobile boosterやstick boosterのBEAMSコラボモデルの展示もあり。
但し、2代目のブラックモデルのみで、初代のオレンジモデルは展示されていませんでした。

ついでに別のイベントも紹介。


ミッドタウン・タワー5階のデザインハブでは、GOOD DESIGN EXHIBITION 2011が開催中です。


会場内の撮影は公式に推奨されているようですので、心置きなく撮影できます。


会場内には特別賞受賞候補を中心としたデザイン約70点が紹介されています。


auのINFOVAR A01の展示。
iPhone派の私も、これはデザインだけで欲しくなりました。

今回はデジカメの展示が目を引きました。

SONYのDSC-TX55です。SONYと言えば、タイの工場が心配ですね。


こちらはニコンのクールピクス AW100。


オリンパス PENのシステム群は圧巻です。


ブリジストン電動アシスト自転車
子供用椅子を上手くデザインに取り込んでいます。

グッドデザイン賞は工業製品以外も対象にしています。

iPad用アプリ、MUJI ノートブックが紹介されていました。

eneloopの展示は11月6日で終了してしまいましたが、GOOD DESIGN EXHIBITIONは13日まで開催中です。
入場は無料なので、近くの方は一度覗いてみてはいかがでしょうか。

STYLE-FIT マイスター 回転式3色軸 どこから開ける?

先日紹介したSTYLE-FITマイスターシリーズの新型、回転式3色軸についての補足というか、訂正です。
某巨大匿名掲示板でこんな書き込みを見つけました。

142 :_ねん_くみ なまえ_____ :sage :2011/10/29(土) 18:24:23.69 ID:???
回転軸買ったんだが、ねじが固すぎてあかない

143 :_ねん_くみ なまえ_____ :sage :2011/10/29(土) 20:25:06.84 ID:???
マイスター、カフェイン依存症の人は先の方を開けてたけど
真ん中を開けるんじゃないの?どっちなんだろう?

144 :_ねん_くみ なまえ_____ :sage :2011/10/29(土) 23:09:36.74 ID:???
ねじ堅かった
でも外せた

145 :_ねん_くみ なまえ_____ :sage :2011/10/30(日) 00:54:34.01 ID:???
真ん中だよね。
俺は下が開かなかったわ。

「カフェイン依存書の人」って俺のことか… てゆーか、真ん中開くのか!?

軸の真ん中の部分は、回してみたものの、固くて開きそうになかったので、先端の方を開けたのですが…
書き込みを信じて、真ん中を思い切って強く回して見ました。

…開きました。
先端部を開けるより、真ん中を開けたほうがリフィルの交換もやりやすいですね。
どうやら、真ん中を開けるのが正解のようです。

ただ、真ん中はプラスティックと金属という、素材が異なるパーツの接合部なので、強度が不安です。
プラと金属の接合部というパターンには、苦い経験があります。

これは、PILOTのフリクションボールBizです。
この製品もマイスターの3色軸と同じく、開けられる場所が2ヶ所あります。
こちらの場合は、開くのは真ん中と後ろの消字用ゴムの部分です。
リフィルの交換は、どちらを開けても可能ですが、作業しやすいのは真ん中で開けるほうです。
そこで、いつも真ん中を開けていたのですが…

ご覧のように、接合部のネジの根元から、ポッキリ折れてしまいました。
開け閉めの際に力が加わったのが原因だとは断定はできませんが、トータルで3本同じ箇所で折れてしまったので、強度的に不安があるのは事実です。
最近では後ろのゴムの部分を外すように心掛けています。
このような経験があるので、マイスター3色軸も、今後も先のほうを外すつもりです。

ここから先は完全に蛇足ですが、「どこから開けるか」というつながりでちょっとだけ追記。

どこから開けるか分かりにくいと言えば、カランダッシュのボールペンは代表格ではないでしょうか。
軸に継ぎ目が全く無いので、初見ではどこから開ければいいのか悩みました。
冷静に考えれば、唯一の可動部のノックボタンを外のは自明ですが、他に例の少ない構造なので初めて知ったときは驚きました。

とは言え、カランダッシュ以外にも、ノック部が外れるボールペンは一応存在します。

例えば、ぺんてるビクーニャやPILOTのG-Knockです。
(どちらもカランダッシュとは微妙に構造は違いますが。)
この2本も、最初に見たときはどこから外すのか分からず、しばらく悩みました。

ウソを見破る統計学 退屈させない統計入門

ウソを見破る統計学―退屈させない統計入門 (ブルーバックス)

ウソを見破る統計学―退屈させない統計入門 (ブルーバックス)

学力低下は錯覚である」の神永正博氏による統計学の入門書です。

  • 第1部 統計の基本にストーリーあり
    • 第1章 ボーナスが高い会社を狙え
      • 平均のウラの顔
      • 外れ値
      • 100万円なんてはした金
    • 第2章 間違いだらけの学部選び
      • 隠された情報
      • 混ぜるな、危険!
      • 高齢出産のリスク
    • 第3章 本番に強いのはどっちか
      • バラツキを測るには
      • 平均偏差・標準偏差・分散
      • なぜ標準偏差が使われるのか
      • たまにだけれど役に立つ
    • 第4章 その数学が就職を決める
      • 散布図
      • 相関いろいろ
      • 男が太れば、女は痩せる?
    • 第5章 テストの合否を推定せよ
      • 分布が出てくるメカニズム
      • 二項分布から正規分布
      • 合否を分ける天王山
      • 区間推定と誤差
      • 歪みのチェックをお忘れなく
    • 第6章 投資でウソをつく法
  • 第2部 隠れた関係をあぶりだす
    • 第7章 麦酒研究部はB型王国
      • 無に帰したい仮説
      • 観測度数と期待度数
      • 私たちってズレてるの?
      • カイ2乗値のパートナー、自由度を求める
      • P値はコーヒー?
      • 5%は仮設
      • 血液型性格診断を信じますか
    • 第8章 大人の事情
      • カイ2乗検定リターンズ
      • 正常と異常を分けるもの
      • 補正前、補正後
    • 第9章 肉で勝つ!
      • 意外な関係をあぶり出す ―回帰直線
      • R2値
      • うわべだけの関係
      • 重回帰分析
    • 第10章 長生きできる国、できない国
      • 曲がった関係を分析する
      • 直線回帰にハマらない場合
      • BMIの起源
      • がんばらないほうがトクをする?
      • 意外なことが寿命を延ばす
    • 第11章 男と女の分かれ道
  • 第3部 統計の深遠なる世界
    • 第12章 物語で人は動く
      • ポアソン分布
      • 馬に蹴られて亡くなった兵士の数
      • 事件は続く
      • サポートセンターを効率化
      • 待ち行列理論
      • 上手にお客さんをさばく術
    • 第13章 庶民の世界
      • 日本人の所得分布
      • 対数正規分布
      • コツコツ稼ぐ人たち
    • 第14章 お金持ちの世界
      • べき分布
      • 勝負をかける人たち
      • ブレーキのないF1レース
    • 第15章 株価の分布は取扱注意
      • 値動きの法則
      • 株価のモデルを考えるには
      • 市場にひそむ魔物の正体
      • 想定内の大暴落
      • シェルピンスキー・ガスケット
    • 第16章 世界記録はどこまで伸びるか
      • しっぽをつかめ!
      • トリニティ定理
      • 予測できること、できないこと
      • ワイブル族の大予言
    • 第17章 世界は分けようとしても分けられない
      • 金融危機のカラク
      • 山火事のめぐみ―反比例の法則
      • スモールワールド性
      • 科学者的進化論
  • 謝辞
  • さくいん

「難しい事を易しく、面白く伝える」というのは非常に難しい事ですが、本書は少なくともその半分は達成しています。

各節の構成はどれも同じで、前半部がショートストーリー、後半がその統計的な解説になっています。
構成としては「マンガでわかる統計学」と同じで、漫画の部分が文章になったようなものです。
後半の解説部では極力数式を使わず、統計の基本的な考え方を平易に説明しています。
初心者向けの解説ですが、いい加減な誤魔化しや方便としての嘘もなく、内容の正確さ・的確さは流石です。
前述の「難しい事を易しく」と言う課題が立派に達成されています。

残念なのは前半のショートストーリーです。
笑いを取りに行っているようですが、あまり成功しているとは思えません。
はっきり言ってしまえば、面白く無い。
架空の人物による、現実感の乏しいやり取りが繰り広げられていて、興味を持てる要素もありません。
学力低下は錯覚である」で感じたある種の小気味良さが完全に失われています。
前述の課題の後半、「面白く伝える」というのは残念ながら失敗のようです。

これ一冊で統計学を学ぶには無理がありますが、基本的な考え方を知るには向いていると思います。
少々残念な部分はあるものの、総合的に見れば読む価値のある、良書と言えそうです。