定本 ラヴクラフト全集 第1巻 小説編I

ハワード・フィリップス・ラヴクラフトアメリカの恐怖小説作家です。
後にオーガスト・ダーレスによって「クトゥルフ神話体系」として再構築される一群のコズミック・ホラーの祖であり、菊地秀行栗本薫らにも強い影響を与えています。
私のハンドルも彼が創作した怪物の名に由来しています。
この全集は、広く流布しているアーカム・ハウス版のテキストの誤りを正すためにオリジナルの原稿を極力再現したものに基づいており、ラヴクラフト愛好家としては必読の書と言えます。
基本的に執筆順に掲載されており、この第1巻では初期の作品と幼児期の数作を読むことが出来ます。

  • 洞窟に潜むもの
  • 錬金術
  • 奥津城
  • デイゴ
  • 北極星
  • 眠りの壁を越えて
  • 忘却
  • ファン・ロメロの変容
  • 白い帆船
  • サーナスの災厄
  • ランドルフ・カーターの証言
  • 怪老人
  • 木魅
  • ウルサーの猫
  • 海底の神殿
  • アーサー・ジャーミン卿の秘密
  • 古い通りの物語
  • 光の都セレファイス
  • 向こう側
  • ナイアーラソテップ
  • 一枚の絵
  • 忘却の彼方へ
  • 廃墟
  • 流離の王子イラノン
  • 月沼
  • アウトサイダー
  • 異形の神々の峰
  • エーリッヒ・ツァンの音楽
  • 附録I 幼児期作品
    • 小さなガラスびん
    • 秘密のどうくつ
    • 墓のなぞ
    • 不思議な船

ラヴクラフトの本領である宇宙的恐怖の描写はまだ完成されていませんが、「デイゴン」(ダゴン)では既にラブクラフト小説の王道パターン、が見られます。
ナコト写本」や狂えるアラブ人アブドゥル・アルハズレッド(アルハザード)、作者の分身たるランドルフ・カーター、ナイアーラソテップ(ニャルラトホテップ)もこの時期に登場しています。
本書は25年前の出版ですが、既に絶版となっており版元在庫も残っていません。
ファンからの復刊の要望は高いのですが、残念ながら実現していません。
古い公立図書館に所蔵されていることが多いので、単に読むだけならあまり苦労は無いのですが、出来れば復刊して欲しいものです。