ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学


ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学
岡嶋裕史


本書は、システム開発において失敗の要因となりうる留意点について、発注側の視点から解説したものです。
SEという人種に関する基礎知識、SIerの分類と特徴、システム開発の大まかな流れと各工程における注意事項、そして失敗例を判り易く述べています。

  • まえがき
  • 第1部 SEという人々
    • SEという生き物
    • 開発系の人々
    • 開発技術者の周縁の人々
    • 運用系の人々
  • 第2部 SEと仕事をするということ
  • 第3部 ユーザとSEの胸のうち
  • あとがき


以前SIerにSEとして勤めていた頃の記憶と照らし合わせても、本書の分析は客観的かつ正確で、しかも非常に判り易く書かれています。
しかも笑える。非常に笑える。抱腹絶倒と言っても差し支えない程です。
とは言え、元受注側の人間としては、発注側の視点から書かれた皮肉たっぷりの文章に無邪気に笑っている訳にもいかず、苦笑いもかなり混じっていはいるのですが…
全編を通して感じることは、著者のIT業界に対する知識の豊富さと正確さです。
その知識は表面的なことに留まらず、SIerの内情やSEの生態について極めて深いところまで及んでいます。
文章の端々から感じることは、著者は発注側の人間を装ってはいても、実は「こっち側」、すなわち受注側のSEと同じ人種だということ。
「あとがき」を読むとやはりSE経験者とのこと。納得です。
とにかく、判り易くて面白い、著者独特の文章に魅せられてしまいました。
他にも色々な著作があるようですので、機会があれば是非読んでみたいと思います。


ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学 (光文社新書)

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