PILOT 色彩雫 Tokyo Limited Edition

先週あたりから、都内の大型文具店で色彩雫の見慣れない新色が出回っています。
どうやら東京限定発売の新色のようです。
ネーミングも江戸の伝統的な色彩にちなんだものばかり。
実店舗では銀座の伊東屋OAZO丸善本店で売られているのを確認しました。
伊東屋のネット通販でも販売が開始されましたので、ちょっと画像と解説文を拝借します。

「新橋色」はターコイズ系。青系色雫には無かった明るい水色です。

「新橋色」の新橋とは、東京の新橋のことですが、明治末期ごろから新橋の芸者衆の間で流行した着物の色より「新橋色」と名付けられました。

新橋芸者は、木挽町の芝居小屋をとりまく料亭や遊船宿でうまれた町芸者が始まりとされています。新橋と横浜間に鉄道ができたことで新橋は一層にぎわいを増し、東京で一番の花街となりました。芸者の中でも新橋芸者は一流とされ、現在でいうファッションリーダー的な存在であったことが覗えます。

色鮮やかな緑がかった青色「新橋色」が芸者の着物の半襟や裾などからチラリとのぞかせる事により、粋な雰囲気を演出していたことでしょう。


「江戸紫」は青みを帯びた紫色。すみれ色と言ったほうが良いかもしれません。
山葡萄と比べるとかなり青が強く、エルバンのヴィオレパンセに近い印象です。

当時江戸で流行していた京都の紫染めを真似て、紫草の根を用いて江戸の地で染めた色だとされています。
紫草の根には解熱、解毒効果があると言われており、これで染めた鉢巻を額に巻くことで病状を和らげるとされていました。

歌舞伎でおなじみの「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」で花川戸の助六が鉢巻きにしているのがこの江戸紫です。

江戸の男たちの間で粋なファッションとして流行し、この色が「江戸紫」として浸透していきました。


深川鼠」はグレー系。緑がかった微妙な色合いです。
霧雨や冬将軍とは全く違う印象を受けます。

鼠色は、江戸時代の町人にとても好まれた着物の流行色でした。
当時、幕府によって華美を禁じられた江戸庶民が、逆に地味な色にこそ「粋」であることに目覚め、鼠色が流行したと言われています。

鼠色には「江戸百鼠」といわれるほど、たくさんの色名があります。当時の庶民が鼠色の中にも微妙なニュアンスの違いを見極め、ひそかに色の文化を堪能し、見えないところにお金をかけていたことなどが覗えます。

微妙な色合いのインクが増えても使い切れないので取り敢えず購入は見送りましたが、今使っている松露や霧雨が切れたら試してみようと思います。