イノベーションへの解 利益ある成長に向けて

イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)

イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)

以前紹介した「イノベーションのジレンマ」の続編になります。
前著では実績ある大企業が破壊的イノベーションへの対応を誤り、凋落していくメカニズムが解き明かされました。
続編である本作では、いかにして「イノベーションのジレンマ」に対抗し成長を維持するか、その解法が示されます。

  • 第一章 成長という至上命題
  • 第二章 最強の競合企業を打ち負かす方法
  • 第三章 顧客が求める製品とは
    • 仰々しい市場細分化
    • 状況ベースの区分を通じて、破壊の足がかりを得る
    • 破壊を持続させるためのイノベーション
    • なぜ逆効果を招く方法で市場を細分化するのか
    • 顧客はやりたくない用事には手を出さない
  • 第四章 自社製品にとって最高の顧客とは
    • 新市場型破壊
    • 無消費への対抗が難しいのはなぜか
    • 新市場の顧客に到達するには、破壊的チャネルが必要なことが多い
  • 第五章 事業範囲を適切に定める
    • 統合するか外注するか
    • 製品アーキテクチャとインターフェース
    • 「十分でない」世界には相互依存型アーキテクチャ
    • オーバーシューティングとモジュール化
    • 相互依存型設計からモジュール型設計へ
    • 再統合の推進要因
    • 状況に調和したアーキテクチャ戦略をとる
    • ちょうど良いときにちょうど良い場所にいること
  • 第六章 コモディティ化をいかにして回避するか
    • コモディティ化と脱コモディティ化のプロセス
    • コア・コンピテンスとROA最大化のデス・スパイラル
    • 「十分良い」状況と「十分でない」状況、ブランドの価値
    • このモデルを通して自動車産業の将来を展望する
    • 付録:魅力的利益保存の法則
  • 第七章 破壊的成長能力を持つ組織とは
    • 資源、プロセス、価値基準
    • 能力の移動
    • 破壊的な新事業に適した組織を選ぶ
    • 新しい能力を生み出す
    • 資源、プロセス、価値基準を買収する
    • 過ちの代償
  • 第八章 戦略策定プロセスのマネジメント
    • 二種類の戦略策定プロセス
    • 戦略策定プロセスで資産配分が果たす重要な役割
    • 戦略策定における資源配分
    • 戦略策定プロセスを事業開発段階に合わせる
    • 根本的に異なる二つの戦略プロセスを運営する
    • 戦略策定プロセスにおける三つの重要なポイント
  • 第九章 良い金もあれば、悪い金もある
    • 不十分な成長から生じるデス・スパイラル
    • 成長投資のジレンマをどう乗り越えるか
    • 潜在的失速点を知るためには、財務成果ではなくパターン認識を用いる
    • 良い金が悪くなる前に投資方針を立ててしまう
  • 第十章 新成長の創出における上級役員の役割
    • 持続的世界と破壊的世界の橋渡しをする
    • 経営陣関与の理論
    • お節介の大切さ
    • 経営幹部なら誰でも破壊的成長を先導できるのか
    • 成長エンジンを作り出す
  • 終章 バトンタッチ

序盤は前作のおさらいという感じで、中盤以降に様々な観点での戦略が示されています。
目次を見て分かる通り内容は多岐に渡りますが、その影響なのか前著ほどの目新しさや説得力は感じず、一般論の域を出ない記述に終始している印象です。
前著で感じた爽快感はなく、歯切れの悪さが残る読後感でした。
ジレンマのメカニズムを分析するより、その対策を講じるほうがより難易度が高いということなのでしょうか。
スッキリしないのは、訳が分かり辛いというのも一因かもしれません。原著を読むべく英語力を付けたいところです(^^;