プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか

現代経営学の祖にしてマネージメントの発明者、ピーター・フェルディナンド・ドラッカー博士。
その著作10冊と論文1本からの抜粋を再編集した、入門書的な1冊です。
とにかく内容が濃く、一文一文に重みがあります。
その分、読み進めるには相応の時間と労力を要しますが…

  • 日本の読者へ――モデルとしての日本
  • はじめに
  • Part1 いま世界になにが起こっているか
    • 1章 ポスト資本主義への転換
      われわれが経験しつつあるものは何か/転換後の社会/何が産業革命をもたらしたか/知識の意味が変わった/産業革命の本質/マルクス主義はなぜ失敗したのか/テイラーの悲劇/「教育訓練」が生産性を爆発的に増大させた/マルクス主義失敗の根本原因/知識が経済の中心になった/マネジメントとは何か/新しい社会を創造する力
    • 2章 新しい社会の主役は誰か
      組織社会が直面する問題/組織は創造的破壊のためにある/変化のための仕組みをもつ/迅速な意志決定に必要なもの/組織が果たすべき責任/明確な使命が成果を生む/知識労働者は組織に依存しない/前例のない社会組織/組織の使命に信念を持つ
  • Part2 働くことの意味が変わった
    • 1章 生産性をいかにして高めるか
      生産性革命は終わった/資本と技術は生産手段にすぎない/「目的は何か」を問うことが重要/分散化する知識労働者の仕事/知識労働は三種類ある/仕事のプロセスを分析する/教えるときにもっとも学ぶ
    • 2章 なぜ成果があがらないのか
      成果をあげる能力とは何か/現代社会の中心的存在/すべての者がエグゼクティブ/働く者をとりまく組織の現実/組織の存在理由/成果を大幅に改善する方法/それは習得できる能力である
    • 3章 貢献を重視する
      権限に焦点を合わせてはならない/三つの領域における貢献/知識ある者の責任/よい人間関係を持つ秘訣
  • Part3 自らをマネジメントする
    • 1章 私の人生を変えた七つの経験
      私の青年時代/目標とビジョンを持って行動する――ヴェルディの教訓/神々が見ている――フェイディアスの教訓/一つのことに集中する――記者時代の決心/定期的に反省を行う――編集長の教訓/新しい仕事が要求するものを考える――シニアパートナーの教訓/書きとめておく――イエズス会カルヴァン派の教訓/何によって知られたいか――シュンペーターの教訓/成長と自己変革を続けるために
    • 2章 自らの強みを知る
      生き生きと働くための方法/強みは何か/フィードバック分析からわかること/仕事の仕方に着目する/人と組むか、ひとりでやるか/価値観を優先する/ところをうる
    • 3章 時間を管理する
      自分の時間をどのように使っているか/時間を無駄にする仕事/時間をまとめる/時間の使い方を記録する/時間を整理する/マネジメントの欠陥がもたらす時間の浪費/汝の時間を知れ
    • 4章 もっとも重要なことに集中せよ
      時間を無駄にしているヒマはない/古くなったものを整理する/劣後順位の決定が重要/必要なのは勇気だ
  • Part4 意志決定のための基礎知識
    • 1章 意志決定の秘訣
      正しい意志決定を導く五つのステップ/問題は四種類ある/問題解決の必要条件は何か/何が正しいかを考える/決定を行動に移す/フィードバックの仕組みを作る/評価測定のための基準を見出す/満場一致に注意せよ/決定は本当に必要か/勇気を持つ
    • 2章 優れたコミュニケーションとは何か
      四つの原理/「上から下へ」と「下から上へ」/目標によるマネジメント
    • 3章 情報と組織
      情報型組織の台頭/柔軟性と多様性をあわせもつ組織/自己管理と責任からなるリーダーシップ
    • 4章 仕事としてのリーダーシップ
      カリスマ性はいらない/リーダーシップの本質
    • 5章 人の強みを生かす
      強み重視の人事/組織の利点/上司の強みを生かす
    • 6章 イノベーションの原理と方法
      奇跡は再現できない/なすべきこと/なすべきでないこと/成功するイノベーションの条件/イノベーターはリスクを冒さない
  • Part5 自己実現への挑戦
    • 1章 人生をマネジメントする
      第二の人生をどうするか/第二の人生を設計する方法/革命的な変化/日本がモデルとなるか
    • 2章 ”教育ある人間”が社会をつくる
      社会の能力を規定するもの/知識社会における中心的存在/知識社会と組織社会/テクネ――教育ある人間の条件/専門知識を一般知識とする
    • 3章 何によって憶えられたいか
      自らの成長に責任をもつ/辞めるか、移るか/成長するための原理/何によって憶えられたいか
    • 付章 eコマースが意味するもの――IT革命の先に何があるか
      新産業出現の兆し/産業革命における鉄道の役割/IT革命によるプロセスのルーティン化/eコマースがもたらすもの/新産業がもたらしたもの/テクノロジストの出現/知識労働者は金銭では動かない
  • 編訳者あとがき
  • ピーター・F・ドラッカー著作目録

今何を成すべきか、それは何故か、如何にして成し遂げるか、ビジネスの本質的な問題に関する深い洞察と示唆に満ちています。
但し、「如何にして」の部分ではやや突き放した感もあり、最終的な行動は読者に委ねられています。
昨今の親切丁寧なビジネス書も便利ではありますが、小手先のテクニックに溺れて本質を見失わないためにも、本書のような原典的存在の触れることも大切だと感じました。