統計学:Rを用いた入門書

統計学:Rを用いた入門書

統計学:Rを用いた入門書

「R」とは、オープンソースの統計解析向けプログラミング言語です。
様々な統計処理のための解析環境、統計に特化した数多くの組込関数、高機能なグラフ機能を備えています。
本書は、タイトルの通り、このR言語を用いて統計学の理論を学ぶための入門書です。
元々は大学の講義に用いることを想定して書かれた教科書的なもののようです。

  • まえがき
  • 訳者まえがき
  • 第1章 基本
    • すべては変動する
    • 有意性
    • 良い仮説,悪い仮説
    • 帰無仮説
    • p値
    • 解釈
    • 統計モデル
    • 最大尤度
    • 実験計画
    • 節約の原則(オッカムの剃刀
    • 観測,理論,実験
    • 管理
    • 反復:「平均」を正当化するn個のもの
    • 何回の反復が必要か?
    • 検出力
    • 無作為化
    • 強い推測
    • 弱い推測
    • どこまで続けるか?
    • 擬似反復
    • 初期状態
    • 直交計画と非直交観測データ
  • 第2章 データフレーム
    • データフレームの一部分を選択する:添字選択
    • ソート(並べ替え)
    • 作業の保存
    • 後処理
  • 第3章 さまざまな中心値
    • Rでヘルプを用いる
  • 第4章 分散
    • 自由度
    • 分散
    • 例題
    • 分散と標本数
    • 分散を用いる
    • 非信頼度の指標
    • 信頼区間
    • ブートストラップ
  • 第5章 1標本データ
    • 1標本データの要約
    • 正規分布
    • 正規分布z変換を用いた計算
    • 1標本問題における正規性検定のためのプロット
    • 1標本データに関する推測
    • 1標本仮説検定問題におけるブートストラップ法
    • スチューデントのt分布
    • 高次のモーメント
    • 歪度
    • 尖度
  • 第6章 2標本データ
    • 2つの分散の比較
    • 2つの平均の比較
    • スチューデントのt検定
    • ウィルコクソンの順位和検定
    • 対標本データの検定
    • 符号検定
    • 2つの比率を比較する2項検定
    • 分割表データに関するχ2検定
    • フィッシャーの正確確率検定
    • 相関と共分散
    • データ底ざらえ
    • 相関係数
    • 変数間の差の相関と分散
    • 階層に依存した相関
    • コルモゴロフ・スミルノフ検定
  • 第7章 統計モデル
    • モデル単純化の各段階
    • 警告
    • 除去の順序
    • Rにおけるモデル式
    • 説明変数間の交互作用
    • 多重的な誤差の指定
    • 切片は1で表わす
    • モデル単純化に用いられるupdate関数
    • Rのモデル式の例
    • 回帰に対するモデル式
    • GLMs:一般化線形モデル
    • 誤差構造
    • 線形予測子
    • 適合値
    • 連結関数
    • 自然な連結関数
    • 比率データと2項誤差
    • 計数データとポアソン誤差
    • GAMs:一般化加法モデル
    • モデル評価
    • Rにおける統計モデルの一覧
    • モデル検査
    • 分散の非均一性
    • 誤差の非正規性
    • 影響度
    • てこ比
    • 誤って選ばれたモデル
  • 第8章 回帰
    • 線形回帰
    • Rでの線形回帰
    • 回帰における誤差分散
    • 適合度の指標:r2
    • モデル検査
    • 多項式回帰
    • 非線形回帰
    • 山型の関係に関する検定
    • 一般化加法モデル(GAMs)
  • 第9章 分散分析
    • 1元配置分散分析
    • 簡便な計算式
    • 処理効果の大きさ
    • 1元配置分散分析を解釈するためのプロット
    • 要因実験
    • 擬似反復:入れ子の計画と分割区画
    • 分割区画実験
    • 変量効果と入れ子の計画
    • 固定効果それとも変量効果?
    • 擬似反復の除去
    • 経時データの解析
    • 要約変数分析
    • 分散成分分析
    • 分割区画標本と階層計画標本の違い
  • 第10章 共分散分析
  • 第11章 重回帰
    • 簡単な例
    • さらに複雑な例
    • step関数を用いるモデルの自動的単純化
    • AIC赤池情報量規準,Akaike’s Information Criterion)
  • 第12章 対比
    • 対比係数
    • Rでの対比の取扱い例
    • 事前対比
    • 段階的に減少させるモデル単純化
    • 対比平方の和の手計算
    • 3種類の対比の比較
    • 別名表記
    • 共分散分析モデルでの母数と対比
    • 多重比較
  • 第13章 計数データ
    • ポアソン誤差を仮定した回帰
    • 計数データの逸脱度分析
    • 分割表のもつ危険性
    • 計数データにおける共分散分析
    • 頻度分布
  • 第14章 比率データ
    • 1標本あるいは2標本比率データの解析
    • 比率としての計数データ
    • オッズ
    • 過分散と仮説検定
    • 応用
    • 2項誤差を仮定したロジスティック回帰
    • カテゴリカル型の説明変数を複数個もつ比率データ
    • 2項データの共分散分析
  • 第15章 死亡および故障データ
    • 打切りをもつ生存解析
  • 第16章 2項応答変数
    • 発生関数
    • 2項応答変数の共分散分析
  • 付録 R言語の基礎
    • 電卓としてのR
    • 変数への代入(付値)
    • 反復の生成
    • 要因の水準の生成
    • グラフィクス表示の変更
    • ファイルからのデータの読込み
    • Rにおけるベクトル関数
    • 添字選択:ベクトルの部分抽出
    • 論理式と添字選択
    • 配列の添字選択
    • リストの添字選択
    • Rにおける関数の記述
    • 並べ替え(ソート)と順序付け
    • 配列の中の要素の数え上げ
    • tapply関数
    • cut関数を用いて連続型変数をカテゴリカル型変数へ
    • split関数
    • 格子プロット
    • xyplot関数
    • 3次元プロット
    • 行列演算
    • 線形方程式の解法
  • 参考文献
  • 索引

統計処理に必要な複雑な計算を全てR言語の関数で処理することで、読者は統計理論を学ぶことに集中できます。
数学的知識についても、理系の高校数学レベルで事足りました。
理論の習得と同時にR言語による処理実装の実例も得ることが出来るため、極めて実戦向けの内容と言えます。
また、文章も平易で判りやすく、更には技術書の翻訳にありがちな日本語として破綻した文章は殆ど見受けられません。
原著、翻訳共に質が非常に高いと感じました。
なお、末尾の付録にR言語の基礎的な解説がありますので、R言語に関する知識がない方はまず付録に目を通すことをお勧めします。
但し、R言語に関して本書で触れられている内容は必要最低限+α程度ですので、本格的にRを活用するのであれば別の参考書やネット上の情報を参照する必要があります。
数学は得意ではないけれど統計学を学びたい方、とにかくすぐに実戦で使える知識を身に付けたい方には文句無くお勧めの1冊です。