リフィル選択型多色ペン雑感

先日のエントリーでSTYLE-FITの5色軸を取り上げましたが、なぜこの製品が画期的なのか、ちょっと整理してみましょう。
まずはこれまでの経緯の振り返りです。

元祖、PILOT HI-TEC-C コレト

リフィル選択型多色ペン(勝手に命名)の元祖は、PILOTのHI-TEC-C コレトです。
初代の発売は2005年の後半だったと記憶しています。
当時から、カラーバリエーションの豊富なゲルインクボールペンは存在しましたし、多色・多機能ペンも色々と有りました。
それらと比較してコレトが画期的だった点は、今更言うまでもありませんが、「好きなリフィルを選んで組み合わせることが出来る」と言う点です。
15色のカラーバリエーション、3種類の筆記幅の、45種類のリフィルを好きに組み合わせることが出来ます。
発売当初は2色用の軸しかありませんでしたが、2007年2月には3色軸も登場します。

上の写真は3色軸です。端が蓋になっていて、そこからリフィルをセットします。
これはコレト独自の方式で、リフィルの交換が容易です。
また、ノックレバーとリフィルをまとめて交換するため、レバーの色でリフィルを容易に判別することが出来ます。
多くのリフィルをスムーズに使い分けることが出来るよう、細かな配慮がなされています。

コレトの主要なターゲットは女子中高生等の若い女性だと思われ、軸のデザインやカラーリングもカラフルなものが大半でした。
しかし最近になって、男性を意識したと思われるデザインの軸も登場しました。
上の写真は2009年2月から限定発売されているメタリックブラック軸です。

そして同じく2009年2月、4色軸も登場しました。

このように、コレトの歴史は多色化の歴史と言っても差し支えないでしょう。

ぺんてる スリッチーズ

長らくコレトの独壇場だったリフィル選択型多色ペン市場ですが、今年に入って急に競合が登場します。
まずは2009年2月、ぺんてるから、ゲルインクボールペン「スリッチ」をベースとした「スリッチーズ」が登場しました。

コンセプトはコレトと全く一緒ですが、後発であるにもかかわらずリフィルの筆記幅のバリエーションが2種類しかない点や、軸が2色用と3色用の2種類しかない点で、登場早々コレトの後塵を拝すことになります。
コレトの4色軸の登場とスリッチーズの発売がほぼ同時期だったことは、ぺんてるにとって不幸でした。
更に追い討ちをかけるように、最強の新興勢力であるSTYLE-FITが登場します。

本命、STYLE-FIT登場

スリッチーズの発売時期を狙い撃ちするかのように、2月末に三菱鉛筆が新製品STYLE-FIT(スタイルフィット)を発表しました。
実際の発売は、3月中旬から一部店舗で先行発売開始、5月中旬から全国展開です。

これまでに何度か紹介したとおり、その最大の特徴は、ゲルインクボールペンのみならず油性ボールペンやシャープペンシルのリフィルが用意されていることでしょう。
しかも油性ボールペンは三菱鉛筆が誇る人気製品、ジェットストリームです。
また、コレトの4色軸を上回る5色軸の存在も大きなアドバンテージになります。
更に、リフィル選択型の常識を覆す単色軸で、これまで単色のキャップ式・ノック式のゲルインクボールペンが担っていた市場まで奪う狙いも垣間見えます。

ゼブラは?

PILOTのHI-TEC-C、ぺんてるのスリッチ、三菱鉛筆のシグノと並ぶゲルインクボールペンのブランドとしてゼブラのサラサが存在します。
そのゼブラはリフィル選択型多色ペンに参入しないのでしょうか?

今のところ、サラサの多色ペンはリフィル固定のものばかりです。
ゲルインクの5色・5機能ペンは存在せず、4色のサラサ4が最大となります。
元々サラサのカラーバリエーションがあまり多くないと言うのが理由の一つと思われますが、シャーボXという目玉商品が存在することも影響しているのかもしれません。
2007年1月に発売されたシャーボXも「好きなリフィルを選んで組み合わせることが出来る」という観点では同じコンセプトの商品と言えます。
油性ボールペン16種類、ゲルインクボールペン22種類、入力ペン、合計39種類のボールペンリフィルと、3種類のシャープペンシルを自由に組み合わせることが出来ます。
シャープペンシルを必ず1つだけ入れるという制約はありますが)
軸のバリエーションも豊富で、組み合わせの自由度は極めて高いと言えます。
但し、価格帯は他の3商品とはかけ離れており、競合関係にあるとはいえるかどうか、微妙なところです。

まとめ

このように、STYLE-FITはHI-TEC-C コレトに端を発するリフィル選択型多色ペンの集大成的な存在であり、同時にシャーボXに迫る拡張性を秘めたものとも言えます。
今のところ油性ボールペンやシャープペンシルのバリエーションは乏しいのですが、今後の拡充の可能性は十分にあると予想しています。
現時点でも最強クラスの多機能ペンであり、今後更に発展する可能性を秘めているのがSTYLE-FITなのです。
……などと褒めちぎっていても、素直にそのまま使えないのが文具オタクの悲しいサガです。
以前のエントリーで既に紹介済みですが、他の多機能ペンにリフィルを移植して遊ぶのはやめられません(^^;
次回は、その多機能ペンについて考察してみたいと思います。