ウソを見破る統計学 退屈させない統計入門
ウソを見破る統計学―退屈させない統計入門 (ブルーバックス)
- 作者: 神永正博
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/04/21
- メディア: 新書
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- 第1部 統計の基本にストーリーあり
- 第1章 ボーナスが高い会社を狙え
- 平均のウラの顔
- 外れ値
- 100万円なんてはした金
- 第2章 間違いだらけの学部選び
- 隠された情報
- 混ぜるな、危険!
- 高齢出産のリスク
- 第3章 本番に強いのはどっちか
- 第4章 その数学が就職を決める
- 散布図
- 相関いろいろ
- 男が太れば、女は痩せる?
- 第5章 テストの合否を推定せよ
- 第6章 投資でウソをつく法
- 第2部 隠れた関係をあぶりだす
- 第7章 麦酒研究部はB型王国
- 無に帰したい仮説
- 観測度数と期待度数
- 私たちってズレてるの?
- カイ2乗値のパートナー、自由度を求める
- P値はコーヒー?
- 5%は仮設
- 血液型性格診断を信じますか
- 第8章 大人の事情
- カイ2乗検定リターンズ
- 正常と異常を分けるもの
- 補正前、補正後
- 第9章 肉で勝つ!
- 意外な関係をあぶり出す ―回帰直線
- R2値
- うわべだけの関係
- 重回帰分析
- 第10章 長生きできる国、できない国
- 曲がった関係を分析する
- 直線回帰にハマらない場合
- BMIの起源
- がんばらないほうがトクをする?
- 意外なことが寿命を延ばす
- 第11章 男と女の分かれ道
- 川の流れのように
- 検定あれこれ
- ビールを美味しくするt検定
- まずは使ってナンボ
- 第3部 統計の深遠なる世界
- 謝辞
- 注
- さくいん
「難しい事を易しく、面白く伝える」というのは非常に難しい事ですが、本書は少なくともその半分は達成しています。
各節の構成はどれも同じで、前半部がショートストーリー、後半がその統計的な解説になっています。
構成としては「マンガでわかる統計学」と同じで、漫画の部分が文章になったようなものです。
後半の解説部では極力数式を使わず、統計の基本的な考え方を平易に説明しています。
初心者向けの解説ですが、いい加減な誤魔化しや方便としての嘘もなく、内容の正確さ・的確さは流石です。
前述の「難しい事を易しく」と言う課題が立派に達成されています。
残念なのは前半のショートストーリーです。
笑いを取りに行っているようですが、あまり成功しているとは思えません。
はっきり言ってしまえば、面白く無い。
架空の人物による、現実感の乏しいやり取りが繰り広げられていて、興味を持てる要素もありません。
「学力低下は錯覚である」で感じたある種の小気味良さが完全に失われています。
前述の課題の後半、「面白く伝える」というのは残念ながら失敗のようです。
これ一冊で統計学を学ぶには無理がありますが、基本的な考え方を知るには向いていると思います。
少々残念な部分はあるものの、総合的に見れば読む価値のある、良書と言えそうです。