リフィル交換型多色ペン比較 その7 耐水性比較

ボールペンのインクは水性と油性に大別されます。ゲルインクボールペンは、この分類では水性になります。
水溶性のインクが使用されていますので、当然ながら水に触れるとインクが溶け出し、書いた文字が滲んだり流れたりしてしまいます。
油性インクと比較して耐水性に劣るというのは水性インクの根本的な弱点ですが、各社色々と工夫しているようで、乾くと耐水性を持つようなインクも存在します。
これまで紹介してきた3社のインクを中心に耐水性を比較してみました。

まずはブルーブラックインクの比較です。
HI-TEC-C コレト、スリッチーズ、シグノ(STYLE-FIT)の3種に加えて、単色のノック式ゲルインクボールペン2種が比較対象です。
ゼブラのサラサは耐水性に優れたインクとして知られていますので比較対象に加えてみました。
G-knockは同メーカーのHI-TEC-Cとどの程度差があるか興味があったので対象に入れてみました。
書いた紙(コレクトの情報カード)にスポイトで水を1滴ずつ垂らし、筆跡の滲み具合を比較します。

コレトは溶けたインクが周囲に流れ出し、筆跡が薄くなっています。
スリッチーズは更に顕著で、水滴が落ちた場所では筆跡が殆ど消えてしまい、辛うじて判別できる程度しか残っていません。
一方で、シグノとサラサでは筆跡の濃さは殆ど変わっていませんし、インクが溶け出すことによる周囲の滲みは殆どありません。
G-knockは若干の滲みが見られます。同メーカーのコレトと比べると耐水性に差がありそうです。

続いて、他の色も比べてみます。先日のエントリーで紹介した基本4色のテストの紙を、そのまま水道水で洗い流してみました。

傾向としてはブルーブラック同様、スリッチーズの耐水性の低さと、サラサとシグノの優秀さが見て取れます。
黒は各社とも健闘していますが、スリッチーズとコレトは筆跡が若干ぼやけてしまいました。
青はよりはっきりと差が出ており、スリッチーズの筆跡はかなり薄くなっています。
赤は青ほどの差は出ていませんが、傾向は同じです。
最後に緑。スリッチーズは文字は殆ど残っていません。耐水性は皆無と言って差し支えないレベルです。
コレトは面白い結果になりました。緑の黄色成分が抜けて青だけが残っています。
どの色でもシグノとサラサは殆ど流れていません。

結果を総合すると、三菱鉛筆のシグノとゼブラのサラサの耐水性はかなりのレベルと言えそうです。
ぺんてるのスリッチーズは黒や赤ではある程度の耐水性が期待できますが、基本的に耐水性には期待できないと考えたほうがよさそうです。
パイロットは製品によって若干の差はありますが、シグノやサラサ程の耐水性には期待できません。
水に濡れると筆跡は滲むものの、洗い流せば一応読めるという、微妙なレベルのようです。