5機能ペン比較 その3 グリップ

5機能ペンの比較3回目は、グリップについて。
クリップオンマルチ2000を除いては、一見すると大同小異のゴム張りグリップですが、実際のところはどうなのでしょうか。
ペンの重心に大きく関係する、グリップ部の重さにも着目して比較してみました。

クリップオンマルチ2000


まずは別格扱いのクリップオンマルチです。
今回の比較対象の中では唯一ゴム張りではありませんが、滑り止めの溝や艶消し塗装のおかげで滑りやすいと言う印象はありません。
グリップ部は本体同様に黄銅(真鍮)製ですが、薄く仕上げられており素材の割には軽量です。
グリップ部の重量は約5.8g、本体部は約14.7gでした。
本体とグリップ部が同じ素材と言うことで、重心はさほど低くありません。

定価1000円クラス3種

激戦区の1000円クラスの3種(クリップオンマルチ1000、ドクターグリップ4+1、ジェットストリーム4&1)の比較です。
3モデルとも、グリップ部は金属(ステンレス)製のベースにゴムやシリコンを被せた構造になっています。
本体部は殆どが樹脂製ですので、結果的に重心が低くなる傾向にあります。

まずはクリップオンマルチ1000です。
グリップ部は肉厚のステンレス製パイプにラバー素材を貼り付けたような構造です。
滑り止め効果は十分ですが弾力はあまり感じません。
グリップ部の重量は約10.6g、本体部は約13.7gです。クリップオンマルチ2000と比較するとグリップ部が重く、重心が低くなっています。

続いてジェットストリーム4&1です。
基本的な構造はクリップオンマルチ1000と一緒ですが、口金の直線的なデザインが目を引きます。
ゴムは柔らかく粘りを感じます。
滑り止め効果は今回の比較対象の中では一番高いと感じましたが、副作用として、埃を吸着しやすいようです。
グリップ部は約11.3g、本体部は約12.3gで、クリップオンマルチ1000より更に低重心になっています。

ドクターグリップ4+1です。一見して、グリップ部のパイプが長いのが判ります。

グリップ部は更に分解できます。ステンレス製のパイプ、シリコン製チューブ、リング、口金の4つのパーツで構成されています。
シリコン製チューブの固さは、体感ではクリップオンマルチ1000とジェットストリーム4&1の中間です。
白っぽい色のため埃が付着しても目立たないのは良い点です。
グリップ部の重量は約14.8g、本体部の重量は約13.5gで、グリップのほうが重くなっています。
前回のエントリーでドクターグリップ4+1が重いと書きましたが、その原因この極端に重いグリップでした。

定価500円クラス2種

廉価版2種(クリップオンマルチ、4+1ライト)の比較です。

クリップンマルチです。1000円クラスのモデルを見た後では、いかにも安っぽく頼り無げです。
ゴムは固く、滑り止めとしては十分ですがクッション効果は期待できません。
グリップ部は約2.5g、本体部は約13.1gです。重心の位置はかなり上になっているようです。

4+1ライトです。色がついているせいで多少は頼り無い印象は薄れていますが、実際の質感はやはりチープです。
ラバーは薄くて固く、ドクターグリップ4+1との差は歴然です。
ドクターグリップの名を冠していないのも当然と思えます。
グリップ部の重量は約3g、本体部の重量は約13.4gでした。

メーカーの違いより価格帯の違い

こうやって比較してみると、価格帯が同じであればメーカーが違っても似たような製品に仕上がっていることが判ります。
逆に、同メーカーでも価格帯が違えば全く違った印象を受ける製品になっています。
先行メーカーの製品を模倣した結果なのか、それともマーケットの要望を汲み取って同じような収斂進化を遂げたのか、興味深いことです。