文具の流儀:ロングセラーとなりえた哲学
- 作者: 土橋正
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 2011/08/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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文具評論家の土橋氏が、内外の文房具メーカーを取材した一冊です。
特徴的なのは、各メーカーのロングセラーを1つずつ取り上げ、その製品に絞って紹介している点です。
取り上げられている文具はどれも定番のロングセラーですので、文房具好きならずとも一度は目にしたものが多いのではないでしょうか。
- はじめに
- トンボ鉛筆 | 8900
- ライフ | チケットブック
- シード | レーダー
- カール事務器 | 鉛筆削りAngel-5
- ステッドラー | マルスルモグラフ
- ぺんてる | シャープペンの芯
- オート | オートペンシル
- シャチハタ | Xスタンパーネーム
- ビック | オレンジビック
- 寺西化学工業 | マジックインキ大型
- 住友スリーエム | ポスト・イット
- デザインフィル | ダイヤメモ
- ラミー | ラミー2000万年筆
- オルファ | ブラックS型
- ゼブラ | マッキー
- ポスタルコ | リーガルエンベロープ
- ロディア | ブロックロディア
- ヤマト | ヤマト糊
- マルマン | 図案スケッチブック
- ツバメノート | ツバメノート
- KUM | シャープナー/300-1
- 三菱鉛筆 | ユニ
- セーラー万年筆 | プロフィット21
- 満寿屋 | 原稿用紙
- クロス | センチュリー
- コクヨS&T | キャンパスノート
- ライツ | レバーアーチファイル
- スマイソン | パナマノート
- パイロット | キャップレス
- 美篶堂 | みすずノートマーブル染め
- カランダッシュ | フィックスペンシル
- 月光荘 | スケッチブック
- ファーバーカステル | カステル9000
- ダイゴー | アポイント
- プラチナ万年筆 | #3776ギャザード
- ハイタイド | ミニットマネージャー
- チャールズレッツ | クラシックシリーズ
- ロットリング | ラピッドグラフ
- あとがき
- 問い合わせ先リスト
目次を眺めるとなかなか壮観です。
流石に、ロングセラーだけあって馴染み深い製品が並んでいます。
パーカーのジョッターが無いとか、ポスタルコのリーガルエンベロープってそんなに古いものじゃ無いだろうとか、カランダッシュはボールペンを取り上げて欲しかったとか、突っ込みどころは有りますが…
各製品の紹介は10ページ前後が割り当てられていますが、写真ページが数ページ入りますので、正味は8ページ程度になります。
詳しく取材した様子が伺えるものの、ページ数が足りずに少し物足りなく感じる記事も有りました。
とは言え、ロディアだけで1冊に仕立て上げて失敗した例もありますので、少々物足りない位が丁度良いのかもしれません。
土橋氏と言えば、文具のレビューサイト文具ウェブマガジン pen-info(以下、pen-info)を主催されています。
pen-infoでも本書と同様に、1つの記事で1つの製品を取り上げられていますが、そのスタイルはかなり違っています。
pen-infoでは主観を交えてユーザー目線からのレビューがなされていますが、本書では取材に基づいた情報が主で、主観は(完全ではありませんが)かなり排されています。
結果的に単なる蘊蓄に終わっているとも言えますが、私は却って、主観が入っていないことに好感を覚えました。
本書で扱われているものはどれも定番中の定番で、既に評価が固まっているものばかりです。
そのような製品に対しては、今更ユーザーの主観による評価を聞かされてもあまり有難味は有りません。
これが仮に新製品の紹介であれば、メーカーの発表だけでは分からない、実際の使い勝手の感想にこそ意義がありますが、本書に関しては主観を排したスタイルで正解でしょう。
個人では難しい広範囲のメーカーに取材した成果は評価に値し、文具好きなら一読の価値はあると思います。
(個人的に思い入れのある製品が入っていなくて残念な点はありましたが…)
但し、価格はそれなりにしますので、購入に値するかどうかは微妙です。
私は図書館で借りて済ませてしまいました。
手元にずっと置いておきたい程の魅力は感じなかったので、購入は見送りです。悪しからず。